廊下・食堂・台所・風呂

食堂
▲食堂。向こうの扉は西の部屋に通じる。

台所
 ▲台所
風呂
 ▲風呂



 玄関を入ると真直ぐな廊下が奥まで通っている。「上本町の家」に代表される日本の商家の古い建築様式とも、また、付近の一般的な当時の農家の建築様式とも異なるそれは、「昭和初期の典型的な」住宅様式だという。「大」大阪(一九二〇年代に流行した呼称)のベッドタウンとして急速に進歩し始めた阪神間の中流階級の、和洋折衷の新建築の典型であった。
 真直ぐな廊下はその象徴。各部屋に行くのに別の部屋を通らなくてもいいように、しかも和風建築の良さも取り入れて隣室との通路も必ず設けてある。即ち階下五室(食堂と台所も入れて)階上三室、合計八室全室、出入り口が二ヶ所あるのだ。洋的合理精神と和的協調精神の見事な調和である。
 洋的合理精神といえば、食堂の食器搬入の小窓が珍しい。食堂の扉をあけなくても、廊下を隔てた台所と、食器や料理の行き来ができるようになっていた。
 食堂と続き間になった板敷の、マントルピース、ステンドグラスのある応接間、玄関から一直線に伸びる中廊下―――それらは全て新家族の象徴であり新しい形での「上流」のステータスシンボルである。
 風呂は当時のままの五右衛門風呂。児山宅ではその後もガス設備にせず、そのまま薪等で風呂を沸かしていたという。



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