幸子の部屋

南と東の窓
▲南と東の窓。調度は復元にあらず


欄干のある南向き窓
▲欄干のある南向き窓


 「こいさん、頼むわ。―――」
 『細雪』の有名な冒頭部は、この二階八畳を舞台として始まる。
 演奏会に出かけるために、三姉妹が装いをこらすという優雅な出だしとである。
 そしてその優雅さゆえに、昭和十八年初頭の「時局をわきまえぬ」という軍部の弾圧を受け、三回以降の掲載が禁止されてしまうのである。
 幸子・貞之助夫婦の寝室であり、幸子の居室であるこの八畳は、東に一間、南に一間半の窓があり、欄干がある。
 さんさんと陽光が差し込み、家中で一番明るく広い。
 山村流の舞のおさらい会の時、この部屋は楽屋に使われ、妙子が装いをこらす。
 いわば、生活感のある一階とは対照的に、二階は生活感から遊離した場所でもある。



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